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デニスコーネル・インタビュー
2.

TQR:では、現在製作しているさまざまなアンプについてうかがいたいのですが?

僕は現在5種類のアンプを製作している。 ロマニー(Romany)、ランブラー(Rambler)、ジャーニーマン(Journeyman) それから、ボイジャー(Voyger)とベースアンプのエクスプローラー(Explorer)だ。
ロマニーは、10Wのアンプで、雑誌のプロジェクトで製作したスティンガー(Stinger)が基になっている。僕は、雑誌読者のために単純なアンプキットのデザインを依頼されたんだ。僕はグッドアイデアだと思った。なぜなら、それは僕が技術専門課程で勉強していたとき、プラクティカル・エレクトロニクス(Practical Electronics)という雑誌のプロジェクトでアンプを作ったことを思い出したからだ。そのアンプのデザインは、フェンダー・チャンプ(Fender Champ)のシングルエンドのクラスAを基本にした。ご存知のように、すべてのフェンダーアンプは、同じ名前だが中身には変更が加えられている。結局、ボリュームコントロールだけの初期のチャンプと、その後のモデルでトレブルとベースコントロールもつけたチャンプの両方をベースにした。それは、単純にイコライザスタックの切り替えができるイコライザスイッチをつけることで完成した。また、12AX7のプリアンプを1個と6L6の出力チューブを使って、かなりいいものができたんだ。
最初にプロジェクトを発表したときは、60人の予約が入っていたが、プロジェクトが進行していくうちに100人もの人から問い合わせが入り、結局手に入らなかった100人を失望させる結果となってしまったんだ。
最初のデザインだったので、僕はパワーを3Wまでカットできるパワー減力をつけた。それから、ロマニー・プラス(Romany Plus)という高位機種も作って、12インチのスピーカーとリバーブをつけた。
ロマニー(Romany)には、1個、ロマニー・プラス(Romany Plus)には3個のプリアンプしかつけなかったので、雑音が少なく、家庭やスタジオで使用するには、理想的なモデルとなったんだ。チャンプ(Champ)が基本になっているので、スピーカーはジャンセン(Jansen)を使用した。それは、クラシックな変更を加えることで、クールでクリーンなサウンドになった。
ランブラー15W(Rambler 15W)というのは、ジャーニーマン(Journeyman)の小型版で、顧客のリクエストに応じて製作したものだったが、この何年かの間に少し修正を加えてきた。このアンプは、設計にいくつかのオプションがあるんだ。ベースになるのは、2チャンネルタイプで、もうひとつは、フットスイッチでチャンネルを切り替えるタイプ。どちらも、リバーブはついていないが、15WのクラスA EL84もしくは、20WのクラスAB 6V6を選べる。ベースとトレブルのコントロールはトーンのワイドレンジをコントロールできるが、これもジャーニーマン(Journeyman)の回路を使っている。オーバードライブについては、現在のディストーションのタイプとは全然ちがうデザインになっている。このアンプは、なんとギターマガジン(Guitar Magazine)の2000年度アンプ大賞「Amplifier of the Year 2000」を受賞しているんだ。
僕の最初のとても重要なアンプは何と言ってもジャーニーマン(Journeyman)だ。それは、30WのクラスAで、EL84の出力チューブを使用しており、3バンドイコライザによってワイドレンジのトーンが実現できる。このベース・トレブルコントロールおよびエッジコントロールが僕の基本設計といえる。エッジコントロールは、つまみが内部で2重になっていて、つまみを右に回すとトレブルがあがり、つまみを左にまわすととベースがあがるようにになっている。これは、顧客の要求で、2本のまったく違ったタイプのギター(テレキャスターとレスポールなんだが)を弾くために開発した結果だった。その顧客は、両方のギターでクラシックトーンをだしたかったのだが、彼の持っていたアンプだと、ギターを持ちかえるたびにイコライザの調整に時間がかかって面倒だったのだ。その顧客は、市場に出回っているアンプには、彼のお気に入りの2本のギター(テレキャスターとレスポール)のまったく違ったトーンレンジを1台でうまく処理できるようなアンプを見つけることができなかった。僕はエッジコントロールを、レスポールのハンベッカーピックアップを使うときには、必要な高音域を付け加えて、低音域を微妙にカットするようにした。また反対に、テレキャスタータイプのギターを使うときは、トレブルを下げてベースを上げるように設計した。また、フットスイッチで、トーンを4つのポジションに切変えられるように作ったんだ。これらの4つのトーンというのは、EF86プリアンプチューブのゲインの調整で行われる。チャンネルはひとつでオーバードライブはついていないが、マスターボリュームがついている。

ボイジャー(Voyger)というアンプは、チャンネルの切り替えができるようになっていて、ランブラー(Rambler)に似ているが、もっとトーンのコントロールができるようになっている。出力は、40Wで、出力チューブは、6L6を2個 もしくは、EL34を2個使用している。このアンプは、クラシッククラスA/Bのデザインだが、オーバードライブを長時間使用したときに、出力チューブを保護するために、多少カソードバイアス使用している。この結果、出力にわずかなロスがあるが、それに勝る利点はあると思う。来年は、このアンプに変更をかけて、ランブラー(Rambler)の高位機種として製作するつもりだ。

エクスプローラー(Expolorer)ベースアンプはまた違った構成になっている。プリアンプにトーンセレクトスイッチがあって、異なった周波数でもミドルをスクープするようになっている。これもまた、60年代のカバーバンドによるカスタムメイドアンプの製作依頼から生まれた。まさしく、2本のまったく違うトーンのベースギター(クラシックプリシジョンベースとポールマッカートニーホフナーバイオリンベース)を1台のアンプで使用したかったのだ。
結局僕は、EF86プリアンプチューブのフィードバックパスに2個のツインTフィルタを使用することにした。このトーンセレクトスイッチは、異なったギターでもイコライザステージの前にトーンを調整するフィルターとして活用できた。4つのイコライザステージがあって、それぞれのコントロールがチューブの半分を使用し、出力ステージでミックスされる。
エクスプローラー(Expolorer)アンプの電源は、100Wから300Wまでのオプションがある。

TQR:エリッククラプトンが現在使用しているアンプはどのようにして設計やデザインをすることになったのですか?

エリック物語だね!いきなり電話があったんだ。それは、リー・ディクソン(Lee Dixon)という男で、彼はエリッククラプトンのギターテクニシャンだった。彼は、「手紙を預かっているんだ。エリックがサウンドに問題を抱えていて、君ならなんとかできるんじゃないかって言っている」と言った。彼は2台のツインアンプを使っていたが、それがもはやツインアンプとしての音をださなくなっていると言っていた。
エリックは、フェンダーのバイブロ・キングというアンプを使っていて、ミッドのレスポンスが悪いことに気が付いた。アンプは、ベースとトレブルを切って、ミッドが目いっぱいになっているのにもかかわらず、まだベースとトレブルが大きい。僕はちょっとイコライザに調整を加えて、トレブルのレスポンスを切ってみたが、クリーンで切れのよい音をだしてしまうジャンセンスピーカーのせいで、ミッドまだ十分ではなかった。
確かに調整はある程度助けにはなったものの、 最終的にエリックが自分専用のカスタムアンプを持つことを決めたときには、さすがにうれしかったよ。すべての作業はリー・ディクソンを通して行われた。リーは、とっても協力的で、彼とはトーンだけでなく、機能や外観をどうするかについてもかなりの時間を一緒に費やした。そしてついに僕らは、エリックの古いツインアンプにかぎりなく近くて、それでいてミッドのきいたブルースサウンドを作り上げることができた。スピーカーは、カリフォルニアのサン・ラファエル(San Rafael)にあるブラウン・ソーン(Brown Soun)というメーカの「トーンタビー」という麻のコーン型を使用した。僕たちは、少なくとも10種類の異なったスピーカーをテストしたが、最終的にこれがエリックの要求に近いものと判断して決めた。

エリックアンプには、チャンネルを2つ作ることにした。チャンネル1は、ボリューム、ベースとトレブルで成り立っている。イコライザは、エリックの1956年製ツインアンプに近いもので、トーンの調整に左右されることなく、温かみのあるミッドレスポンスが効いている。それは、とても単純な、”差し込めばOK”といったものだった。チャンネル2は、ボリューム、ベース、ミッドそしてトレブルだ。
この調整は、いわゆる通常のイコライザよりもずっと複雑なものだった。
各コントロールは、それぞれのチューブステージを持っていて、ワイドレンジコントロールができるので、どんなポジションにしてもいいトーンに達することができる。
出力ステージは4本の6L6出力チューブを使用していて、余裕で80W出力できるクラスA/Bで動作させている。さらに20Wに出力を減らす電源スイッチがある。
キャビネットはバーチの合板で作り、古く見えるように細工したフェンダーツイードで覆った。これが、クイーンズジュビリーコンサートで使用されたアンプで、エリックのギターは、チャンネル2のほうにつながっていた。また、エリックはこのアンプをアルバム・リンゴ(Ringo)のレコーディングや、ブランズハッチでのフェラーリコンサートでも使用した。しかし、その後エリックはアンプをできるだけシンプルにしたいと考えたんだ。それで、今はチャンネル2を取り外したんだ。
もちろん、エリックは当時そのアンプをとっても気に入ってくれていたと思う。ただ、本当に彼が”お誂えスーツ“のようにぴったりの感覚だったかどうか確信がない。なぜなら僕は直接サイズを測ったわけじゃないからね。(彼のスケジュールでは忙しすぎて無理だけど)もし将来的にエリックが何か変更を加えたいと思ったときには、もう一度僕にチャンスをくれることを切望しているよ。

TQR:あらゆるクラシックビンテージアンプが製作されている”ゴールデンイヤー“と言われる中この業界で仕事をしているわけですが、トランスフォーマーの役割は大きいのでしょうか?例えば、ドレーク(Draak)、アルビオン(Albion)やパートリッジ(Partrige)などがクラシックアンプに使われていますね

僕としては、現在出回っているそういったトランスフォーマが優れているとは思っていない。確かに、それぞれ独自の要素を持っているし、今は新しいすぐれた素材がいろいろある。これらのトランスフォーマメーカーは決して悪いとは言わないが、たぶん当時仕事をしていた人間がよかったのではないかな?やはり、会社のブランドではなくその中で実際働いている人たちが重要だよね。その中に現在まで存続しているメーカーもいくつかあるけど、実際に最高品質のトランスフォーマを製造できる知識と技術を持った人はいるのだろうか? 設計や技術の進歩はすさまじいものがある。トランスフォーマの基本的な部品と言えば、鉄芯・銅線・絶縁体なんかだ。品質のグレードが違う鉄芯や銅線、絶縁の方法、またどうすればコイル同士が絶縁できるかというノウハウが品質とサウンドに多大なる影響をおよぼしてくる。そうして、また製造の方法もしかり。はたして、現代の方法が昔より優れているかどうか? 例えば、初期のトランスフォーマは、手巻きかもしくは古い巻き線機を使って、紙製のフォーマーか、紙製ボビンにまいていた。そのあと、E型やI型のメタルに巻き、ワックスに浸して固めていた。僕らは、現代の相当品といわれるトランスフォーマが、サウンドや信頼性やコストの面で勝っているのかどうか、本当にいいものは何のかを知る必要がある。現代の巻き線機は、テンションのコントロールや、巻き数のカウントができるし、それぞれの巻き具合のギャップも事前に設定でき、どんどん同じものを生産することができる。だが、これははたして手巻きよりいいのだろか?
トランスフォーマーを設計するとき、3つの重要な要素がある。
まずはじめに、旧式の方法と部品で製作してみて、これが最高のトーンを作り出す方法なのかどうか模索してみること。
2番目に、現代の方法と部品で製作してみて、信頼性と一貫性が十分得られるかどうか模索してみる。最後に設計だ。これは出力トランスフォーマにとって決定的な要素となる。
設計というのは、ウルトラリニアタップ、クロスカップリング、インターリービング、もしくは、ウィリアムソン(Williamson)がデザインしたアンプにみられるような技術的な秘策などを考慮する必要がある。これらが、デザインとトーンに多大なる影響をもたらからだ。

また、目的が1台だけアンプを作るのか?それとも同じ音がでるたくさんのアンプを作るのか、もしくは、とっても高度な仕様のアンプを作るのかによっても違ってくる。
初期のトランスフォーマのデザインは、鉄心のまわりに紙がまかれて、紙のフォーマーの上に巻き線を施して同心円状にまいたコイルを作り出した。また、紙製のボビンは、ふちがあるので、鉄心とコイルの間の絶縁になり、コイルを組み込むときに、端をさらに絶縁するための絶縁体を入れる必要がない。そして、紙製フォーマーもしくは紙製ボビンは、後でワックスにつけて固められている。高温のワックスは、コイルの中にしみこんで絶縁効果が大きい。銅製コイルの絶縁には、しばしばきわめて小さい穴があいてしまうことがある。そうすると、銅が酸化し、湿気にさらされて変化をおこしてしまう。この酸化がよく知られているグリーンスポットといわれる問題で、トランスフォーマの故障の原因となる失敗だ。現代においては、いろいろ進んできて、紙製ボビンは、ナイロン製ボビンにとってかわり、ワックスの変わりに、さまざまなバーニッシュが使われるようになった。現代のトランスフォーマは、ナイロンボビンを使用して、バーニッシュで固めてあるので、ますます信頼性の高いトランスフォーマとなったのだろう。
性能面からいうと、現在使われているさまざまな素材は、昔の紙でできたものよりも絶縁能力があり、結果としてそれがトーンの違いに反映している。そう、トランスフォーマというのはとても複雑な問題なので、専門家にまかせておくのがいいだろう。僕はいつもマジェスティック・トランスフォーマー(Majestic Transformer)というところに頼むんだ。マジェスティック(Majestic)は、1942年からトランスフォーマを作っていて、すべてのタイプのオーディオ出力設計の経験がある。僕は、紙製のインターリーブコイルに、ポリエステルのバーニッシュで固めている。それは、サウンドをよくするだけでなく、一定のトーンを作り出す。

TQR:では、スピーカーについてはどうでしょう?クラシックアンプに使われているクラシックスピーカーと現在生産されているスピーカーについても同じような比較ができますか?

エンジニアとして、物事をできるだけ論理的に考えるようにしているので、ビンテージのスピーカーと現代のスピーカーを比べるのは無理だと思う。 運良くビンテージスピーカーに出くわすことは何回かあったけど、比較テストをするといつもがっかりさせられた。このサウンドが本来のサウンドなのか? コーンやマグネットが劣化し、もはやオリジナルのトーンではないのではないかとね。
僕は、セレション(Celestion)のスピーカーが好きだ。彼らはギタースピーカーのメーカーなので、どうやってよい音をだすかというノウハウがある。フェンダー(Fender)のジャンセン(Jansen)スピーカーが常にいいトーンであると言われてきたが、ギターと同じように、違うスピーカーからは、違う音がでるということだと思う。前にも言っているが、トーン・タビー(Tone Tubby)スピーカーは驚くべきトーンだ。まさに、現代のギタリストは一度試してみる価値があると思う。もし“これこそフェンダーアンプだ”といった、もっとクールでクリスピーなサウンドを望むなら、ジャンセンスピーカーを使うといい。 また、もっとブリティッシュなミドルがきいたサウンドで、オーバードライブを効かせたはじけるようなサウンドを好むなら、セレションスピーカーをお勧めする。僕は、たいていセレションを使う。セレションは、今でも昔とおなじ接着剤をつかっていて、トーンが昔とほとんど変わっていない。
僕は時々わざわざコーンに経年したような変更を加えることがある。それは、トレブルの終わりの音を落とすためだ。
フェンダートーンをだすためには、ジャンセンのスピーカーを使うこともある。本当は、トーン・タビーを使いたいところだが、イギリス人にはちょっと高すぎるね。僕たちイギリス人は変にけちなところがある人種なのかな?
TQR:では、真空管産業についてはどうでしょうか? ゴールドライオン(Gold Lion) KT88やムラード(Mullard) EL34もしくはEL84、アンプレックス(Amperex)のバグル・ボーイズ(“Bugle Boys”),そしてテレファンケン(Telefunkenn)などがよく使われていた時代に、イギリスで仕事をされていたわけすよね?
また、現代物が過去のものよりいいのか?という問題に戻ってしまうが、僕としては、現代もののチューブがよくなっているとは思えない。もちろん、いろいろ試行錯誤を繰り返し開発してきたのだろうが、今まで最高のチューブと思っていたものが姿を消してしまったのも事実だ。ムラード(Mullard)はイギリスでは最高のチューブだった。たぶん昔のムラードチューブに匹敵するようなチューブはなかなかできないと思う。僕は、とにかく手に入るものを使うようにしているが、必ずどんなものか試している。それぞれのチューブに、ノイズ、バズル音やら、信頼性などいろいろな問題がある。僕としては、現代のチューブでこれが一番と言えるものは今のところない。品質の悪いチューブは、悩みの種だね。チューブ技術はこれ以上発展しないのかもしれない。
ハイファイオーディオフアンやギタリストは、音にこだわってチューブを調整することもあるが、若い世代でギターを弾く連中は、チューブアンプを買う余裕がないので、半導体を使ったアンプを使用している。彼らのことは責められない。僕は、10時間ほどで駄目になってしまうかもしれないチューブを搭載するようなアンプがなんとか故障しないように、多大なる時間と労力を費やしているんだから。アンプの一番のウィークポイントは、チューブを使っているために壊れやすいと言われていることだ。
チューブを生産している人々は、もうすこしまじめにやってほしいと思うよ。もしアンプがきちんと修理できなければ、チューブの未来もないからね。
TQR:キャビネットには、どんな木材をつかいますか?

僕はパイン材が好きだね。でも、イギリスではパインがあまりないし、品質のよいパイン材を輸入するのは結構むずかしいんだ。もしアメリカに住んでいれば、もっと安くてすぐ手に入るだろうから、僕のキャビネットはみんなパインで作っていたかもしれない。
家具に使われるパイン材で実験したところ、甘いトーンで、軽いという利点があるが、スピーカーのバッフルに使うには少し問題があるんだ。僕らが入手したパイン材を、4インチ幅で接着したところ、スピーカーががたがたいって振動したら、接着面が剥がれてしまった。パイン材でキャビネットを作るとしたら、軽いという利点のためだけになってしまい、音がでてくる部分のバッフルにパイン材が使えないなら、最初からパインを使う意味が薄れるように思う。 
僕は、バルティックバーチの合板を使う。もし、寒い地方に育ったバーチなら“絶対買い”らしい。 理由のひとつとして、何層にもなっているのに、ねじ切りもできるほど硬く、また、共振しない。さて、ここにまた乗り越えるべき課題がある。
パイン材は、アンプにトーンを付け足す。僕には、ほんの少しだけ甘いトーンを加えているだけのことと思うが、何と言おうとスピーカーに色をつけてしまうことには違いない。スピーカー本来のサウンドを得るためには、カラーをつけない材質が必要だ。だから、非共振のキャビネットというのは、スピーカーのトーンがより自然に近いというわけだ。キャビネットの大きさもサウンドに影響を及ぼすし、密閉度が低いと共振をおこすことがある。つまり、キャビネットの後ろをふさぐか開けるかということも考慮に入れる必要がある。後部がふさがれているキャビネットは、スピーカーの個性に合わせてチューニングできるので、技術的な見地からは優れていると言える。後部が開いていると、キャビネットが共振をおこす。
ここでまた複雑な問題があるわけだが、サウンドにわずかな甘いトーンをつけ加えるような材質の木を使うか、スピーカーからでるサウンドにカラーをつけずにまったく共振しない材質の木をつかうか? いずれを選ぶにしても、結果的によければそれでいいのだけど。僕は、バルティックプライ(BalticPly)で、非共振のものを使い、音をきめるには、スピーカーと自分自身の耳にたよっている。
製作するという立場から、もし特別なデザインで一点物のキャビネットを作るとしたら、各コーナー内側に連結部分をつけるような方法をとる。単に強度の点からだ。今までキャビネットで問題があったことはない。僕が作るときも、顧客から依頼を受ける場合も、キャビネットメーカーに依頼している。


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