「PROVIDENCE /PEC-2、PAE-101P」使用レポート
 僕は以前からスイッチングシステムPEC-1の、文字通りヘビーユーザーでした。
実際にライブサポートの仕事、それもいろんなジャンルのサポートをするとなると5系統のループシステムでは微妙に足りなくなることが、ミュージシャンの人なら想像がつくと思う。
それで僕は2台のPEC-1を山型に並べて使用していた。しかもプログラムモードは一切使わず、コンパクトエフェクターをON/OFFする感覚でがんがん踏み替えていた。昔はやはりラックエフェクターに憧れて何Uものラックを組み上げていた時期もあったが、なにしろライブ中にリアルタイムでパラメーターを変更することが出来ないもどかしさから、いつしかコンパクト派に戻っていった。
 たとえば曲の途中で「ちょっと歪みを減らしたい!」と思った時にいちいちデジタルの階層に入ってダイヤルを回し過ぎて、焦って次の階層に行ってしまったりしながらカチカチとパラメーターを変更するなんてことはやってられない。ぐいっとツマミを回すほうが百倍速い、ということからである
マニュアルモードを使う理由も、たとえばプログラムの1番がディストーションとコーラスとディレイとリバーブだったとして、本番になってお客さんが会場に入って音場が変わり、「やっぱリバーブ切りたい!」となった時にすぐに切れないのがどうしても困るからで。
 そんなスタイルであるがゆえ、どうしてもスイッチを踏む回数は増えるし乱暴にもなる。残念ながらPEC-1はその、スイッチ関係と、あとジャック周りののトラブルが多かった。連日の現場になるといちいち修理に出して、というわけにもいかないので、リハーサル後にあわてて楽器屋に買いに走ったこともある。
ということで4台のPEC-1が今ウチにある(笑)。
それでもPROVIDENCEの音質とコンセプトが気に入っていたし、そのコストパフォーマンスも納得していたので使い続けていたのだが、そんな矢先、そのスイッチ部とジャック部分を強化し、ループの台数も8系統と理想的なバージョンアップを施したPEC-2が発売された。
 フットスイッチは見るからに頑丈になり、操作感も抜群。ジャックのコネクター部分もどんなケーブルもがっちりフィットするように改良されており、これならヘビーな連日のツアーにも十分安心して持って行ける。実際、ライブの現場での機材のセッティングやバラシなどというものは大概が慌ただしい中で行われるもので、そんな大事に大事に機材をバラしている時間などない。がんがんバラして膨大な他の機材と一緒にどんどん積み込まれてまた次の街へ運ばれていく。これはローディーやスタッフを非難しているわけではなく、そうならざるをえないもの、ということである。
 PROVIDENCEは音質とコストパフォーマンスにとてもこだわりを持っているメーカーであると思う。
しかし、ミュージシャンの立場から言うと、どんな現場でも絶対壊れない、という安心感は長いツアーになればなるほど精神衛生上とても大事で、それこそが本番でのプレイに影響してくる。
その上で音質が良ければもう言うことなしである。
 PEC-2は我々ミュージシャンの、そんなわがままな要求に十分応えてくれる製品であることを、ここ数ヶ月いろんな現場で使い倒して実感している。

Kazuyoshi"BABI"baba

さらに驚いたのが、いわゆるパワーディストリビューターの、PAE-101Pである。
「コンパクトエフェクターは電池で動作させるのが一番音が良い」というのは昔から言われてきたことであるが、今回改めてその電源の重要さに気が付かされた。
歪み系は明らかに中域の密度が増え、そして太くなる。いわゆるレンジ感が広くなる。
ワウなども、それまでは痛い部分があったのがまろやかになった。いわゆるワウ特有の中域が、さらに下にも伸びた印象だ。電源というのは一定に見えて実はかなり、現場によっては不安定要素の高いものである。様々な機材が右往左往するステージにおいてはなおさらだ。
リハでは全く気にならなかったノイズが、本番になったら収拾がつかないほど大きく出てしまう、なんてこともある。まあ、それは電源の問題だけではないが、それでも減らせるものなら極力減らしたいものである。PAE-101Pを使うようになって、音質の向上だけでなく、そういった「クリーン」な電源環境が足元にある、ということで随分安心出来るようになった。かなり細部にまでこだわって設計されたんだろうな、というのは付属のケーブル1本を見てもわかる。
誰にでもすぐに効果が実感出来る、という類いのものではないかもしれない。が、たとえばギターアンプから出た音をマイクで拾ってPAで増幅して客席に届ける、もしくは録音してCDとなってリスナーの耳に届く。
こういった過程の中でその効果はてきめんに表れることが多い。EQをしたり、コンプをかけたり、とかそういうことでは出せない音圧感が、電源やケーブルをクリーンにすることによって生まれてきたりする。その効果はステージ上やスタジオのブース内ではあまり実感出来なくても、客席での出音であったり、レコーディングされた音色に顕著に表れたりするものだ。
ギターアンプなどはたいがいの場合爆音が出ているから、その前にいるプレイヤーにはその音量のせいで音圧のある太い音に聴こえていたりするが、じつは錯覚していることも多々ある。
「アンプからは良い音が出てるのに、録音するとどうもしょぼくなってしまう」というような悩みを抱えているプレイヤーの人には、ぜひ電源やケーブルを見直してみることをオススメします。
特にコンパクトエフェクターの電源においてはPAE-101Pを使用してみてほしい。きっと良い結果を産み出すことが出来ると思います。

プレイヤーの要求は千差万別であるが、大きくは「良い音を出したい」というひとつである。
PROVIDENCEの製品はそういった、目に見えづらいことをも見据えて設計されており、そして日々改良しようという前向きな姿勢を感じる。

Kazuyoshi"BABI"baba



馬場 一嘉

1967年4月5日生まれ・B型・三重県出身
武蔵野音楽大学 声楽科を卒業後、1990年4月にロックバンド「UB-TAPS」のギタリストとしてメジャーデビューを果たし、2年後に脱退。と同時にコンポーザー・ギタリストとして活動を始める。
現在までにステージサポートとしては、渡辺美里や森山良子、黒田倫弘、森広隆、川本真琴、宮本浩次、我那覇美奈、広末凉子など数多くの、そして幅広いジャンルのアーティストのコンサートに参加。
コンポーザーとしては「福耳」に提供した楽曲「星のかけらを探しに行こう〜Again〜」が代表作。その他にも黒田倫弘、Whiteberry、RUN&GUN、TOKIO、杏子、いしのだなつよ・・・等に楽曲提供している。
近年はサウンドプロデューサー・アレンジャーとしてのオファーが多く、黒田倫弘、Whiteberry、RUN&GUN、我那覇美奈等の制作に参加しており、その音楽性には高い評価と信頼を受けている。
また、自らのアーティスト活動の場であるソロプロジェクト"Anything to order ?"として現在までに2枚のmini Album、ユニット"SoBaKa's"の一員としても2枚のmini AlbumをBC RECORDSよりリリースしている。

馬場一嘉氏のホームページ:http://www.realrox.com/kazuyoshi_baba/